現金自動預払機(ATM)を利用する七十歳以上の高齢者に対して、振り込みを制限するニセ電話詐欺対策が県内で一定の成果を上げている。医療費や保険料の還付のための操作と偽り、ATMで振り込ませる「還付金詐欺」の被害は件数、総額ともに大きく減っている。(伊藤隆平)

 金沢市内の七十代の男性宅に八月、「医療費を還付します」と電話がかかってきた。男性は指示通りのショッピングセンターへ行き、携帯電話で犯人と話しながら、言われるがままにATMを操作。振り込みをしていることに気付かなかったが、制限によって手続きが中断された。

 還付金詐欺では、犯人が市役所などの公的機関の職員らをかたって電話をかけ、「還付申請の書類が家に届いていますか?」などと尋ねる。高齢者が「記憶にない」と答えると、「今なら間に合う」と伝え、近くのATMを教える。「手続きです」と偽り、巧みに振り込み画面まで誘導する。「パスワードです」と称して知らぬ間に金額を入力させる。

 この手口の対策として、県内の五つの信用金庫と北陸銀行、北国銀行はATMで一定期間、振り込みをしていない七十歳以上の高齢者は、振り込みをできなくなるように設定した。一定期間は、北国銀行が一年間、五つの信用金庫と北陸銀行が三年間。キャッシュカードやATMに登録されたデータを基に識別している。

 これらの金融機関は、三月一日から六月一日にかけて対策を開始。県内の三月から十月末までの還付金詐欺の認知件数は五件、被害総額は三百十五万円となり、制限が始まる前の前年同期比の二十四件、二千二十万円から大きく減った。

 犯行グループは常に対策の盲点を突いてくる。県警生活安全企画課の担当者は「今後、メガバンクの利用者を狙ってくるかもしれない。電話でお金の話をされたら必ず詐欺を疑って」と呼び掛けている。 

出典:中日新聞(2017/11/27)
http://www.chunichi.co.jp/article/ishikawa/20171127/CK2017112702000037.html