架空請求などの特殊詐欺被害が今年、県内で大幅に減少している。2017年はコンビニエンスストアで電子マネーを購入させるなどの新たな手口が横行し、過去最多の計71件(被害総額1億473万円)に上ったが、今年は9月末で計21件(同1193万円)。コンビニ店員から購入客への声かけの徹底や、県警の啓発活動が奏功したとみられ、県警は「住民の意識が向上してきた」としている。(門前光)

 「自分たちが、被害を防止する最初で最後のだという意識でいる」――。鳥取市のファミリーマート末広温泉町店で今年7月、70歳代の男性がレジで7万円分の電子マネーの購入を希望。不審に感じた店員の中野直子さん(45)が、県警から配布された詐欺手口のチェックシートを確認し、通報して被害を食い止めた。中野さんは「購入を思いとどまってもらってよかった」と振り返る。

 県警によると、架空請求や「オレオレ詐欺」などの特殊詐欺被害は、16年の25件から17年は71件に急増。統計を取り始めた11年以降で最多になり、被害総額も14年(28件)の1億5911万円に次いで多かった。

増加の背景には、手口の変化がある。これまでは金をATM(現金自動預け払い機)で振り込ませたり、詐欺グループの一員に手渡しさせたりする手法が目立ったが、有料サイト利用料やインターネットショッピングの商品代名目などで、コンビニで電子マネーのカードを購入させたり、マルチメディア端末を操作させたりする新たな手口が横行。県内では16年に初めて2件の被害が発生後、17年には36件に増え、特殊詐欺被害全体の半数を占めた。

 被害の急増を受け、県警は17年5月、コンビニ店員向けに、「業者や他人から電子マネーを買うように言われた」「電子マネーの番号を相手に教える予定だ」などと詐欺被害を見極めるポイントを記載したチェックシートを作成。県内の全249店舗に配り、防犯訓練も実施している。

 今年は、県警の防犯教室や消費生活センターが開く消費者講座でも、新しい手口を伝え、「身に覚えのない請求には対応しないで」「電子マネーの利用番号を尋ねてくるのは詐欺だと疑って」などの対処法を指導。被害の防止に努めてきた。

 対策の結果、店頭で被害を未然に阻止できたケースは17年に79件、今年も34件あった。県警には店舗から「訓練が役立った」、防犯教室に参加した市民からも「怪しいメールが来たが、支払わなくていいと分かり、安心した」などの声が複数、寄せられたという。県警生活安全企画課地域安全相談対策室の小川栄一室長は「被害に遭わないためには、本人の意識と周囲の声かけが大事。地域全体で被害を止められるよう努力したい」と話す。

出典:読売オンライン(2018/11/6)
https://www.yomiuri.co.jp/local/tottori/news/20181105-OYTNT50348.html