ニセ電話詐欺などの被害を防ごうと川崎市麻生区役所で十四日、地域住民向けの防犯研修会が開かれた。麻生署員が、犯人の手口を紹介し、対策として留守番機能が付いた電話の使い方を説明。お年寄りら約五十人の参加者からは「分かっていても引っ掛かってしまう。地域で防犯意識を高めていくしかない」といった感想が聞かれた。 (安田栄治)

 同署の小田聡生活安全課長が講演し、犯人の手口として、お金、キャッシュカード、ATM、暗証番号の四つのキーワードを挙げ、「これに警察官、区役所、金融庁、日本金融基金のどれかが絡んだら百パーセントうそ。他人がキャッシュカードを預かることは絶対ない」と強調。

 だました金を受け取る「受け子」と呼ばれる犯人は被害者宅にタクシーで向かうことが多く「この不景気な時代にスーツ姿の若い人がタクシーで乗り付けるのはおかしい。怪しいと思ったら一一〇番してほしい」と呼び掛け「被害者一人で防ぐことはなかなかできない」と、地域の協力を求めた。

 具体的な対策として、家の電話に留守番や録音機能を付けて「(かかってきた)電話に出ないのが一番の防犯になる」と署員が助言し、実物の電話を手にしながら使い方などを説明した。

 また、市消費者行政センターの相談員が講演。悪質な商売をする業者を撃退するには「買いません」「今後、勧誘は二度としないでください」などと、はっきりと断るのが効果的と話した。

 麻生区はるひ野で町内会長を務める松井達也さん(75)は「留守番電話にしても、つい出てしまう。きょう聞いたことを(町内会で)話し合いたい」と言い、同区虹ケ丘の森田貞子さんは「団地に住んでいるので、おかしいなと思う人を見掛けたら一一〇番します」と話した。

◆市内の被害 最悪7.8億円

 川崎市によると、市内で昨年一年間にあったニセ電話詐欺の被害は、認知件数三百九十九件、合計の被害額は約七億八千万円(ともに暫定値)で過去最悪という。

 被害を防ぐには留守番電話の活用などとともに、金融機関や小売店店頭での「声かけ」も、水際で食い止める手だてになる。

 幸署は十四日、還付金名目の詐欺被害を食い止めたとして、幸区のローソン川崎小倉下町店オーナー、原千秋さん(50)に対し、斎藤秀明署長から感謝状を贈呈。先月、店頭のマルチメディア端末で数万円分の電子マネーを購入しようとしていた男性に声をかけ、購入理由を尋ねたところ、ニセ電話詐欺の手口だと気づいたという。

 同署幹部は「こうした声かけのおかげで、今年に入り管内で三件の被害を食い止めることができた。一歩踏みとどまってもらうために非常に有効」と話している。 (石川修巳)

出典:東京新聞(2019/2/15)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201902/CK2019021502000152.html