県内で消費者相談が増加している。商品の価値に見合わない高額な代金を支払わされたり、特殊詐欺で現金をだまし取られたりする例が依然として後を絶たない。

 秋田、大館、横手の3市にある県生活センターと、県内25市町村の相談窓口に寄せられた相談の合計は、2016年度は5828件、17年度は5927件と増え、18年度は6136件と6千件を超えた。インターネットやテレビを通じた「通信販売」や「電話勧誘販売」などが目立つ。未成年から高齢者まで、幅広い年代がさまざまなトラブルに巻き込まれている。県や市町村は警察などと連携して情報共有に努め、注意喚起に力を入れてほしい。

 相談窓口に連絡したことをきっかけに、商品購入後も一定期間内に解約できるクーリングオフの手続きを取り、支払い済み額を回収した例は少なくない。特殊詐欺にだまされかけた人が難を逃れたケースも多い。相談が被害回復につながる可能性があることを知ってもらうため、相談窓口の存在を市民にもっとPRする必要がある。

 若年層への消費者教育も不可欠である。民法改正によって成人年齢が引き下げられ、3年後の22年には、保護者の同意なしで18歳からクレジットカードやローンの契約が可能になる。今の中学3年生の年代が最初の対象となる。早期に知識を身に付けさせ、将来の被害防止を図りたい。

 秋田市市民相談センターは本年度、要望があれば中学校や高校に職員が出向き、消費者教育の出前講座を開く計画だ。併せて消費者教育ができる教員の養成も図る方針。あす31日には市内の中学校教員らを対象にした研修会を開き、その場でモデルとなる講座を披露する。知識不足によって未成年が被害に遭うことがないように、教育面を強化したい。

 高齢者の被害防止にも、これまで以上に力を入れるべきだ。認知症の高齢者が高額商品の購入契約を結ばされるなどの悪質な事例は少なくない。家族をかたって振り込みや郵送で現金をだまし取る「オレオレ詐欺」、保険などの還付金を振り込むと思わせて現金自動預払機(ATM)を操作させ、現金を振り込ませる「還付金詐欺」の被害も相変わらず多い。大切にしてきた老後の蓄えを奪われるのだから深刻だ。

 高齢者はだまされた後、周囲に相談できず、泣き寝入りしてしまうこともあるという。近くにいる家族や親族が普段から注意を促すなど気を配り、未然防止と被害回復を図りたい。周囲のちょっとした声掛けが重要である。

 消費者相談によって表面化したトラブルは、氷山の一角にすぎないだろう。関係機関が情報交換を密にして、被害を少しでも少なくできるよう対策に全力を挙げてほしい。

出典:秋田魁新報(2019/7/30)
https://www.sakigake.jp/news/article/20190730AK0021/