「人生、終わった。どうやって子育てしていけばいいのだろう」。声を震わせ、詐欺被害を語る本島在住の女性は今年7月から8月にかけて、県内で横行している電子マネーが絡む詐欺被害に遭った。子ども3人を抱えたシングルマザーの女性が、わずか数日で貯金の大半の約30万円を奪われた。その状況を涙ながらに明かした。 

 パートの収入だけでは生活が厳しかった女性は今年7月、携帯電話から副業サイトに登録した。資産家とメールのやりとりをするという手軽な副業との説明だった。やりとりを数回したある日、「優良会員になれば多額の報酬がもらえる。それにはポイントの購入が必要」などと記載されたメールを受信した。

 女性はコンビニエンスストアで電子マネーを購入。記載された指定先に電子マネーの使用に必要な暗証番号をメールで送信した。以後、女性の元には「報酬の支払いは外資系金融機関を経由するのでさらにポイントを購入してほしい」などと、言葉巧みに電子マネー購入を要求するメールが頻繁に届く。要求に応じ電子マネー購入や金融機関への送金を繰り返し、わずか数日で預金は底を突いた。

 「あなたの副業サイトは詐欺です。お金を取り戻しましょう」。女性の支払いが滞ったころ、弁護士を名乗る人物からメールが届いた。渡りに船と金を工面し、弁護士登録料などの名目で電子マネーを購入。これまでと同様に暗証番号をメールで送信した。しかし、これも詐欺だった。「電子マネーの購入方法もシステムもよく理解していなかった。24時間コンビニで支払いができ、慣れると銀行よりも手軽だった」と振り返る。

 一日に何度も来店する女性を不審に思ったコンビニ店員が「電子マネーは何に使うのですか?」と尋ねてくることもあったが女性は複数のコンビニを回り、何度も支払いを続けた。「購入し、暗証番号を伝えるだけで、現金を支払っている感覚がなかった」と証言する。

 8月、友人の勧めで女性は警察を訪ね、詐欺の被害が発覚した。現在のところ犯人の特定には至っていない。女性によると、登録した副業サイトはネット上に今もあるという。

■県内の電子マネー被害総額、倍増

 県内で電子マネーを狙う特殊詐欺被害が深刻化している。県警が2019年に認知した特殊詐欺は23日現在、18件で、そのうち電子マネーが関連した架空請求詐欺が13件と大半を占める。被害総額は約1180万円で、18年の年間被害額約600万円の約2倍となったことが23日、県警のまとめで分かった。県警は「電話やメールで電子マネーを要求するのは詐欺の手口だ。家族や警察へ必ず相談してほしい」と警鐘を鳴らしている。

出典:琉球新報(2019/11/24)
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1030806.html