金融機関職員や警察官などをかたってキャッシュカードをだまし取る手口のニセ電話詐欺被害が、この1年の間に全国で急増している。岐阜県内でも被害に歯止めがかからない中、岐阜信用金庫(岐阜市神田町)は10月から、職員が80歳以上の顧客宅を1軒ずつ回り、1日のキャッシュカードによる出金限度額の引き下げを呼び掛ける取り組みを始めた。県内の金融機関では初の試みで、同金庫は「万が一の際に被害を最小限に抑えられる手立てとして顧客に理解を求めていきたい」としている。

 「キャッシュカードを預かったり、暗証番号を聞いたりすることは絶対にありません」。渉外担当の職員が、詐欺の手口が書かれたチラシを見せながら顧客に注意を呼び掛ける。その際に勧めているのが、キャッシュカードによる出金限度額の変更だ。初期設定では1日に100万円まで引き出せるが、利用状況に応じて限度額を引き下げることができる。職員からの勧めで限度額を20万円に下げた男性(81)=同市吉野町=は「詐欺の手口はよく分かっているつもりだが、実際に警察を名乗る電話が来たらきっと慌ててしまう」と不安に感じ、変更を決断したという。

 県警生活安全総務課によると、県内の今年の特殊詐欺被害は11月現在102件(前年同期比13件減)、被害額は2億4650万円(同3754万円増)。架空請求、還付金詐欺が減った一方、「令和になって古いカードは使えない」「逮捕した犯罪グループに個人情報が流出している」などと言葉巧みにだまし、自宅を訪れた犯人が「新しいカードが届くまで封筒に割印を押して保管するように」と言って印鑑を取りに行かせた隙にカードの入った封筒をすり替える手口が急増。被害件数は17件、被害額2246万円といずれも前年からほぼ倍増している。

 県内に本店を置く全6信用金庫では、昨年4月から過去1年間キャッシュカードによる取引がない70歳以上を対象に、1日の出金限度額を10万円に引き下げる対策を講じている。

 岐阜信用金庫はさらに一歩踏み込み、取引実績にかかわらず引き下げを呼び掛けている。ただ、カードをよく利用する高齢者からは「いざお金が必要になったときに不便」などと限度額の変更を拒まれるケースが多いという。同金庫業務推進部の木村潤也副調査役は「犯罪から大切な預金をお守りすることを第一に考え、丁寧に説明していきたい」としている。

出典:岐阜新聞web(2019/12/30)
https://www.gifu-np.co.jp/news/20191230/20191230-203544.html