鳥取県内で2019年に確認された特殊詐欺被害は23件(被害額2232万円)だった。件数は18年と変わらないものの、被害額は約700万円増えた。県警捜査2課によると、65歳以上の高齢者が被害者の約7割を占めた。
「この電話は振り込め詐欺などの防犯対策のため、会話内容が録音されます」――。県西部の4町(伯耆、江府、日野、日南)を管轄する黒坂署では、地元の高校生と協力して、高齢者の被害防止に工夫をこらす。昨年12月、署は日野高校(日野町根雨)の生徒の声を吹き込んだ2種類の音声メッセージを作成した。
12日、根雨駐在所の佐蔵直樹警部補が日野町福長の長谷川真由美さん(65)夫婦宅を訪れ、この音声メッセージの設定を手伝った。ICレコーダーに録音した音声を固定電話に吹き込み、1分ほどで完了。長谷川さんは「犯人は電話の録音を嫌うので効果がありそう。若い人の声にも安心感がありますね」と話した。
黒坂署生活安全刑事課の足立伸一課長は「独居や高齢者世帯だと思わせないことが、犯人に警戒感を持たせることにつながる」と、高校生の声に期待を寄せる。音声は署のホームページで公開され、誰でも無料でダウンロードできる。犯人との会話に応じるとうまく話を誘導されてしまうため、署はメッセージを活用し、怪しい電話と接点を持たないよう呼びかけている。
出典:朝日新聞(2020/03/18)
https://www.asahi.com/articles/ASN3J71MKN36PUUB012.html