新型コロナウイルスの感染拡大に乗じた詐欺とみられる電話やメール、戸別訪問が相次いでいる。今月に入って県内で少なくとも十七件が確認され、このうち金がだまし取られたニセ電話詐欺被害も二件あった。いまだ感染の終息が見通せない中、今後もこうした詐欺が相次ぐ恐れがあるとして県警は警戒を呼び掛けている。

 「仮想通貨をやっているが、コロナの関係で急降下するから解約したい」。名古屋市の六十代女性方に、息子をかたる男から電話があったのは十二日のことだ。解約して女性の口座に六百万円を振り込むと伝えた後、続く電話で「未納税金の修正申告が必要になった」と泣きついたといい、女性は自宅に来た「弁護士事務所」をかたる男に現金を手渡してしまった。

 二十三日にも同じ手口で同市瑞穂区の九十代男性が三百万円をだまし取られた。県警生活安全総務課の担当者は「新型コロナウイルスの話題を持ち出して不安をあおっているが、仮想通貨を口実にだます従来の手口だ」と指摘する。

 感染拡大と比例して、三月初めから同様の詐欺とみられる電話などが続発している。「俺だけどマスクの在庫がある」「消毒液が手に入ったから持って行く。コンビニで一万円払って」。こうした言葉を織り交ぜた電話のほか、戸別訪問した男が「十万円払えば終息まで毎月マスクを配布する」と言うケースもあった。実害はなかったことから、その後どう詐欺に持ち込もうとしたかは不明だ。

 ニセ電話詐欺は時代や流行に合わせて、手口を変えていく。今後は「検査」などの関連のキーワードを持ち出すことも想定されるという。同課の担当者は「新型コロナウイルスに関してお金が絡む話は一人で判断せず、家族や警察に相談してほしい」と助言している。

出典:中日新聞(2020/3/27)
https://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20200327/CK2020032702000004.html