自宅を訪れた「受け子」にキャッシュカードや通帳がだまし取られる特殊詐欺被害が県内で1〜4月に35件あり、その半数超の18件で、犯行グループと家人が電話している間に受け子が自宅に現れていたことが1日、県警への取材で分かった。平均通話時間は約2時間。被害者に周囲に相談する暇を与えない手口とみて警戒を強めている。

 県警生活安全企画課によると、県内で4月末までに確認された特殊詐欺被害は全52件。うち7割近い35件が受け子が訪問してカードや通帳を取っていく「手交型」だった。

 中でも最近増えているのが「預貯金詐欺」。警察官や役所職員などのふりをして「あなたの口座が犯罪に利用されている。キャッシュカードの交換が必要」などと言葉巧みに電話。受け子がカードを取りに来る。同課は、被害者がコンビニの現金自動預払機(ATM)や金融機関で現金を振り込んでしまう従来の手口が、コンビニ店員や金融機関職員に阻止されるようになったことが背景にあるとみる。

 「電話してくる『かたり』役が警官、役所職員、金融機関職員と複数入れ替わることも特徴」といい、35件の半数以上で複数の人物が関わっていた。電話を長引かせ、受け子を被害者宅近くに差し向ける時間を稼いでいるという。

 同課は、非通知や知らない電話番号には対応せず、「電話を長引かせたり、複数人が電話に出るのは詐欺と考えてほしい」としている。

出典:信濃毎日新聞(2020/5/1)
https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20200502/KT200501FTI090005000.php