警察官を装って高齢者宅を訪れ、「キャッシュカードが不正利用されている」などとうその話を持ち掛け、目の前でハサミで切り込みを入れてカードをだまし取る手口の詐欺被害が増えている。東京都内では1月から8月末までに185件、計4億円の被害があり、警視庁が警戒している。(井上真典)

◆目の前でカードに切れ込み入れ持ち去り

 警視庁犯罪抑止対策本部によると、目黒区内の70代の女性宅に6月26日、警察官をかたる男から「あなたの口座から60万円引き出されている。心当たりはありますか」と電話があった。男は「警察職員がこれからキャッシュカードを取りに行きます」と話したという。

 3時間後、警察職員を名乗る女が自宅を訪れ、「不正利用の疑いのあるカードは裁判所に持って行く」と説明。女性がカード9枚を差し出すと、女は目の前で2センチほどの切り込みを入れ、白い封筒に入れて持ち帰ったという。その後、女性の銀行口座からカードを使い計1600万円が引き出されたという。

◆「警官がカードを回収することはない」

 切り込みを入れてもカードを使える場合があり、警視庁が詐欺グループから押収したマニュアルには「カードの口座番号などは切らないように」などと記されている。
 都内での同様の手口による被害は2月に2件だったが、8月には61件に急増している。同庁の担当者は「カードが使えなくなったと安心させる手口の詐欺。警察官がカードを回収することはない」と注意を呼びかけている。
 
出典:東京新聞(2020/9/6)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/53568