市長もあわや――。架空の「未払い金」や「還付金」があると告げて金をだまし取る詐欺の被害が後を絶たないが、兵庫県宝塚市の中川智子市長が被害に遭いそうになったことを市広報誌12月号で明かし、市民に注意を呼びかけている。

 市長によると、10月下旬、電話会社のサポートセンターをかたり、「利用料が未納なので電話をください」という内容のショートメールが携帯電話に届き、連絡を取った。相手の男は「1年分の利用料29万円をすぐに振り込まないと、大変なことになる」「裁判所が差し押さえる」とたたみかけてきた。危うく信じそうになったが、「一晩考えさせて」「別の人に代わるので、もう一度説明してください」と〈防戦〉すると、ようやく30分に及ぶ電話が切れた。冷静になり、詐欺の手口だったと気づいたという。

 中川市長は「未払い金なんてないのに、と思いながらも、相手の狡猾こうかつな術中にはまるところだった。市民に気をつけて、と言う立場なのに面目ない。公表することで少しでも被害が減れば」とし、「市役所から医療費の還付金などでいきなり電話をすることはない。気をつけてほしい」と強調した。

出典:読売新聞(2020/12/1)
https://www.yomiuri.co.jp/national/20201130-OYT1T50237/