静岡県内の特殊詐欺の被害件数が増える一方、通報件数が減っていることが県警への取材で明らかになった。1~9月(速報値)で被害件数は前年同期比29件増の262件になっていたにもかかわらず、通報件数は同1713件減の4193件。県警の啓発は対面型が主流だったが、新型コロナウイルス感染症対策のため、大幅に制限された。県警は啓発の機会減が通報件数減の背景にあるとみて、新たな手法を模索する。

 特殊詐欺は、一定の期間中に特定の場所で同じ手口によって集中的に発生することがあり、不審な電話やメールについての住民の通報を端緒に捜査が進展することもある。ところが、10月に県東部で市役所の職員をかたり、キャッシュカードをだまし取った3件の事案は、周辺からの通報が1件も寄せられず、被害者からの申告だけしかなかった。

 県警は通報件数減の要因の一つとして、新型コロナの影響を挙げる。県内で実施した防犯キャンペーンは9月末時点の速報値で、前年の4分の1~3分の1程度にまで落ち込んでいる。担当者は「コロナ禍で人を集められない」と明かす。警察官が特殊詐欺が多発する地域の巡回中に容疑者を見つけるケースもあるが、戸別訪問による啓発は感染症の拡大を考慮すると、推進しづらい状況だ。

 新たな啓発の手法を模索する県警は9月7~30日、初めてテレビのCMを活用して特殊詐欺の啓発を行った。CMの放送終了後の10月は特殊詐欺の被害件数が同16件減の18件、通報件数が同572件減の304件だった。担当者は「通報が減っているものの、被害件数も減り、一定の手応えがある」と話す。

 

 今後はメールなどによる非接触型の啓発に力を入れる。ただし、特殊詐欺の被害者は高齢者が約8割と圧倒的に多い。防災無線による呼びかけを強化しているが、パソコンやスマートフォンの扱いに不慣れな高齢者も少なくないとみられる。担当者は「高齢者に難しい面もあり、他媒体との組み合わせが重要」と話した。

 また、県警は特殊詐欺への対策として「固定電話は留守番電話の設定をして、知らない電話番号からかかってきたら、後から内容を確認してほしい」と呼びかけている。【渡辺薫】

オンラインで予防 防犯意識「診断」始める 湖西署

 詐欺被害防止のため、オンラインを活用した取り組みを始めた署もある。湖西署はホームページで不審な電話に対する防犯意識レベルをチェックする「オンライン診断」を始めた。県内の警察署で初の取り組みだ。

 診断は「固定電話の対策の有無」「知らない電話への対応」「電話の内容を信じるか」などの質問に選択式で答えていく。誤って、「知らない番号からの電話に出る」を選択すると、県警やガス会社などをかたる6種類の不審な電話の音声が無作為に流れ、注意を促される。

 湖西署生活安全課の中水流(なかずる)誠也課長の発案。新型コロナウイルスの影響によって、防犯教室などでの啓発活動が制限されるなか、体験型のオンライン診断を思いついたという。中水流課長は「年末年始はステイホームで家族と一緒に過ごす方が多いので、高齢者の方と一緒に利用して防犯意識を高めてほしい」と語った。

 オンライン診断は、湖西署のホームページ(http://www.police.pref.shizuoka.jp/keisatusho/kosai/kosai.htm)。【渡辺薫】

出典:毎日新聞(2020/12/06)
https://mainichi.jp/articles/20201206/k00/00m/040/060000c