新型コロナウイルスワクチンの高齢者への優先接種が長野県内でも本格化する中、長野県警がワクチン接種に便乗した特殊詐欺への警戒を強めている。被害発生を防ごうと、県内各地のワクチン集団接種会場などで特殊詐欺対策の啓発活動を行っている。

 県警特殊詐欺抑止対策室によると、9日時点で県内のワクチン接種に関連した特殊詐欺被害はないが、不審な電話が2件確認されている。

 県警や飯田保健所によると、1月18日、飯田・下伊那地域の男性に、製薬会社社員を名乗る男から「ワクチン製造会社と連携しているので、事前申し込みがあれば、1月中に先行してワクチンを打つことができる」と電話があった。男性は、飯田保健所に相談して詐欺だと気付いた。2月1日にも飯田市の男性に、製薬会社社員を名乗る男から「1万5000円の予約金を支払えば優先的にワクチンを打つことができる」と電話があった。

 県警は県感染症対策課の協力を得て、ワクチン集団接種会場で啓発活動を行っている。10日に集団接種が始まった高山村保健福祉総合センターでは同日、須坂署員らが受け付けや接種後の状態観察の時間を利用して実施した。高齢者や家族に対し、県警が作成した動画やチラシで特殊詐欺の代表的な手口を紹介し、対策として有効な留守番電話設定の手順などを説明した。

 同村の農業、内山義計(よしかず)さん(81)は「他人事と思っていたが自分も気をつけないといけない」と気を引き締めていた。

 県警は「コロナワクチンの接種は費用が一切かからない。不審な電話があった場合はすぐに警察へ相談し、正しい情報を得て対応してもらいたい」と呼び掛けている。

 ワクチンに関する消費者相談は「新型コロナワクチン詐欺 消費者ホットライン」(0120・797・188)でも受け付けている。【皆川真仁】

出典:Yahooニュース(2021/5/11 毎日新聞)https://news.yahoo.co.jp/articles/07ee60b928ecb338808b094c4d8e5bad04853c3c