高齢者の振り込め詐欺被害を防止したとして、京都府警山科署は、滋賀銀行山科南支店に勤める支店長代理の石橋典大さん(39)、三井隆幸さん(43)、田島里美さん(43)に感謝状を贈呈した。機転を利かせた3人の連係プレーで防いだ今回の被害。川瀬浩史署長は「今後も地域住民を守れるように協力をお願いしたい」と感謝を述べた。

 「お金を振り込みたい」。4月2日、窓口担当をしていた田島さんのもとに、汗をうかべ慌てた様子の女性(91)が訪れた。

 話を聞くと、女性は「関東に住む息子から200万円を振り込んでほしいと連絡があった」と説明。ここまで高額な振り込みはおかしいと思った田島さんは、すぐに上司の石橋さんに報告した。石橋さんが改めて女性から話を聞くと、息子は実家に定期的に仕送りをする余裕があり、石橋さんは「いきなり高額な金銭を要求するのは詐欺だと気付いた」と振り返る。

 「受話器から聞こえた声は、確かに息子の声だった」と言い切っていた女性を、石橋さんは「息子さんはそんな要求するような子じゃないでしょ」と説得。その間、三井さんが息子に電話をかけると「そんなお願いはしていない。とめてほしい」と頼まれた。その瞬間、不安な顔をしていた女性が安堵(あんど)の表情へ変わったという。

 感謝状を受け取った石橋さんは「息子さんが電話に出たときにホッとした。今後もお客さまと接する中で、気付きを大切にして被害を未然に防ぎたい」と話した。

 京都府内では今年に入り、66件の特殊詐欺事件(被害額計8590万円)が発生。山科署管内でも、4件の被害が確認されている。この日は署員らが同支店で、「引き出し限度額を変更して」などと書かれたチラシを客に配りながら、特殊詐欺への注意を呼び掛けた。(鈴木文也、写真も)

出典:Yahooニュース(2021/6/3 産経新聞)https://news.yahoo.co.jp/articles/51011a353609fd0290f3a2a18453d91e10ffcfba