285億2000万円。去年1年間に全国で発生した特殊詐欺の被害額です。これだけの額が、犯人グループの手に渡っていると思うと、本当に許せません。

 そんな特殊詐欺の中でも還付金詐欺と言う手口が石川県内で大幅に増えているそうです。

 金沢市内の金融機関で働く多田純子さん。詐欺の被害を未然に防いだとして、先週警察から感謝状が贈られました。

 5月13日、すでに窓口が閉まった午後5時ごろ…。ATMコーナーにいた客から「来てほしい」と連絡がありました。急いで向かうとその場にいたのは60代の夫婦。話を聞いてみると…。

<60代夫婦>
「金沢市役所から介護保険の還付金があるので今日中にATMに行くように言われた」

多田さん:
「こちらは詐欺なのでお振込みはしないでください、ATMの操作もしないでくださいとお話をしました」

 その後、犯人から夫婦にかかってきた電話に多田さんが出ると…。

多田さん:
「男性が『お世話になっております。のと共栄信用金庫サービスセンターです』と仰ったので、私の方から『私がのと共栄信用金庫の職員ですがこのまま警察に通報させていただきます』と言うと即切れました。明らかに今よく言われている詐欺だったので…」

 実は今、このような、還付金の返還を謳う詐欺が県内で多発しています。

 還付金詐欺文字還付金詐欺とは自治体などの職員をかたって金が戻ってくると信じ込ませ、実際には金を騙し取る詐欺のこと。

 去年1年間に県内で発生した被害は2件だけでしたが、今年は5月までの5カ月間ですでに10件も発生しています。

 その手口は、電話の指示通りにATMを操作させて犯人の口座に金を振り込ませるというもの。なぜだまされてしまうのでしょうか。

警察の担当者:
「被害者の方はATMに来て『お振込み』このボタンを押すわけですね」

 振込ボタンは、自分から相手に金を振り込むときに押すものです。しかし…。

<犯人>
「こちらからあなたの口座にお金を振り込みますので『お振込み』というボタンを押してください」

 犯人のもっともらしい説明で「相手から自分に振り込まれる」と勘違いして振込ボタンを押してしまいます。被害者は金を受け取るどころか犯人の口座に金を振り込みだましとられるのです。

警察の担当者:
「ATMで還付金は戻ってきません。還付金ですとか過払い金、ATMそういったワードが出ましたら詐欺を疑っていただいて、1人で判断しないでご家族や友人、警察に相談していただいて被害を防止していただく。これをお願いしております」

 巧みに金をだまし取る特殊詐欺。不審な電話があったらすぐに誰かに相談することが大切です。

出典:Yahooニュース(2021/6/16 石川テレビ)https://news.yahoo.co.jp/articles/00108300addeed7081fcac2a14aebfa7ba36ee1d