今年8月末までの青森県内の特殊詐欺被害額が5579万円と、前年同期を2300万円余り上回る深刻な状況となっていることが県警のまとめで分かった。認知した36件のうち23件と6割以上を占める「還付金詐欺」の被害額約2500万円が全体を押し上げた。同手口は2020、19年と年間認知件数はわずか1件で、増加が際立つ。県警は「誰でも被害者になり得る」とあらためて注意を呼び掛けている。

 還付金詐欺は、電話で自治体職員などを名乗り「医療費の過払い金がある」「返金する」と持ち掛ける手口。電話口に金融機関の職員役も登場させて現金自動預払機(ATM)に誘導、指示通りに操作させ、被害者に振り込ませる方法が典型だ。

 県警が把握した、特殊詐欺狙いの不審電話は8月15日時点で290件だが、このうち還付金詐欺が9割近くの256件。同手口が電話を起点としていることを示している。警察官などを装い、キャッシュカードを盗み取る「詐欺盗」の不審電話も計17件確認された。

 この他に目立つ手口として、ショートメールで実在する会社名「NTTファイナンス」をかたる架空請求が6、7月に計32件あり、2件で計130万円の被害が出た。被害者全体のうち、65歳以上の高齢者が3分の2を占めている。

 被害の未然防止件数は52件と前年同期(15件)の3倍以上。現金交付の8割がATMを介しており、スマートフォンを使いながら操作している人への声掛けといった水際対策が一定の効果を挙げているもようだ。

 県消費生活センターによると「コロナで窓口が閉まっているので、ATMで手続きしてください」などと、コロナ禍を逆手に取った手口が増えている。県警生活安全企画課は「『電話でATMに行ってと話したら詐欺』という認識を持つことが一番の対策」と話している。

出典:Yahooニュース(2021/9/2 Web東奥)
https://news.yahoo.co.jp/articles/0525d9dff86a571ffe37bd56137df0c3cb175fb0