静岡県内で自宅に保管している「たんす預金」などの現金がだまし取られる特殊詐欺被害が急増している。9月末現在の被害件数は前年同期の4・6倍、被害額は3・5倍にまで跳ね上がった。低金利や新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛などの影響で近年、たんす預金は増加傾向にある。金融機関が防犯対策を強化する中、県警は犯行グループが自宅に眠る現金を狙っている可能性があるとして、注意を呼び掛けている。

 県警生活安全企画課によると、9月末現在の現金被害は46件(前年同期比36件増)、被害額の合計は1億4900万円(同1億700万円増)。7~9月は特に被害が多く、1千万円以上の高額被害も複数あった。

 これまでは犯行グループが不正入手したキャッシュカードで現金を引き出す手口が目立ったが、最近は親族を装って現金を要求するおれおれ詐欺が増加。「今、いくら出せる?」などと手元にある現金を聞いてくるケースもあったという。

 日本銀行によると、2020年末の「たんす預金」は初めて100兆円を突破。金融機関では引き出し限度額の引き下げなどの対策も進み、同課の担当者は「犯行グループがキャッシュカードで何度も現金を引き出すリスクを避け、現金を求めるようになっているのでは」と分析する。

 たんす預金が狙われた場合、金融機関での声掛けなど水際対策が困難になる。担当者は「知らない電話には出ない。仮に出てしまった際は、現金の要求は詐欺だと疑ってほしい」と話している。

出典:Yahooニュース(2021/10/21 静岡新聞)
https://news.yahoo.co.jp/articles/c9bd374e94c9769203b791e3e29d0b9d75445aeb