宮城県名取市は高齢者を狙った特殊詐欺被害が市内で多発している状況を受け、市独自の「警報」を発令中だ。岩沼署によると、今年の市内での発生件数は前年比4件増の11件(11月18日現在)で、被害総額は約1280万円。市と岩沼署が連携し、あの手この手で市民に注意を呼び掛けている。

 岩沼署によると、市内では警察官や市職員らを装ってキャッシュカードを受け取り、暗証番号を聞き出して預貯金から引き出す手口が4件と最も多い。次いで架空請求が3件だった。

 事態を重く見た山田司郎市長は10月下旬、市特殊詐欺警報を出した。市ホームページ(HP)に注意点を自ら伝える動画を公開し、「被害者とならないようご注意を」と訴えた。

 岩沼署は「孫の手作戦」と銘打ち、市の協力を得て、市内の小中学生に特殊詐欺防止を啓発するチラシを今月上旬までに配布。「孫の話なら聞いてくれるだろう」(同署)との狙いから、各家庭で祖父母らに手渡してもらうようにした。

 一方、市内の市民団体「方言を語り残そう会」は、お年寄りに親しみやすい方言で特殊詐欺の手口を伝えようと7日、市相互台公民館主催の講座「いきいき教室」に登場。会長の伊藤恵子さん(64)と副会長の本郷紀子さん(80)が地域の高齢者ら約20人を前に、朗読劇を披露した。

 市高舘地区の民話「狐(きつね)にバカされたおずんつぁん」を基に、おれおれ詐欺の典型的な手口を紹介するストーリー。軽妙な掛け合いで笑わせながら「おらは大丈夫、と思っていると、その油断が『あすはわが身』でがすよ」とくぎを刺した。

 講師を務めた市消費生活相談員の佐藤美佐子さん(70)は、警察官や市職員らを名乗る電話や自宅訪問に警戒するよう強調。「(不審な電話は)一度切って、冷静になってほしい」などとアドバイスした。

出典:Yahooニュース(2021/12/10 河北新報)
https://news.yahoo.co.jp/articles/cae1d46d8bed616f2e758d957472cf4ccb5eb2dc