コンビニや金融機関が特殊詐欺被害の防止に大きく貢献している。2021年に店員や職員らが利用者への声掛けで被害を防いだ事案は1000件以上で、過去最多となった。被害件数も減っており、兵庫県警は「被害を防ぐ最後のとりでとして欠かせない存在」とする。【村田愛】

 2月24日、丹波市の「ローソン丹波市柏原町店」に訪れた50代の男性は2万円分の電子マネーを持っていた。コンビニで販売されているプリペイド式と呼ばれるもので、店で購入すると番号が付与され、この番号で購入金額分が使える仕組みだ。男性は同店で新たな購入を申し出た。店員から事情を聴いた店長の荻野正明さん(63)は男性に声を掛けた。すると、男性は「番号を伝えると40億円がもらえる」との架空メールを携帯電話で受信していたことが判明。荻野さんは男性に詐欺の可能性を伝えて、110番した。

 丹波署長から感謝状を受け取った荻野さんは「最近は詐欺でコンビニが利用される。店舗での被害は可能な限り止めたい」と話す。日ごろから従業員に不審と感じたら声掛けするように伝えているという。

 21年の県内の特殊詐欺の認知件数は859件(被害総額は約11億6000万円)で、20年の1027件(同16億9000万円)から約16・4%(同約31・4%)減少した。声掛けなどの水際阻止は21年が1073件となり、20年の746件から増えて、統計のある11年以降では最多となった。電子マネーをだまし取る手口の増加に伴って県警が具体例をコンビニや金融機関に示し、協力を求めたことが背景にあるとみられる。

 県警は15日、金融機関と現金自動受払機(ATM)利用者の詐欺被害を防ぐ啓発活動を進める共同宣言を出した。県警生活安全企画課は「今後も連携して詐欺被害を減らしたい」としている。

出典:Yahooニュース(2022/3/24 毎日新聞)
https://news.yahoo.co.jp/articles/cde1ddd2780ba08e78bf387f943c5442ea3632aa