1カ月間で「2億円」。これは2024年1月だけの宮城県内の特殊詐欺被害額です。
この特殊詐欺の手口。最近はインターネットを使い、被害者と対面せずに、オンライン上だけで犯行を完結させるという手口が増えてきています。

被害に遭った男性に話を聞きました。

被害にあった男性(70代)
「逮捕状と捜索差押令状を見せられ、現実にもそういうのを見たことがないので本物か偽物かの判断もつかず。ただただ、やっぱり驚きだけで」

仙台市泉区に住む70代の男性です。

きっかけは、2024年1月、沖縄県の警察署に所属する刑事と名乗る男から男性のスマートフォンにかかってきた1本の電話でした。

被害にあった男性(70代)
「(詐欺事件の)資金洗浄するために私の口座に何千万という金額が入っていますよと。疑いがあって、おまえは犯人の一味なんだと」。

「あなたの口座が詐欺の振込口座として使われている」。
男性が詐欺事件の容疑者として捜査対象となっていることを告げるものでした。

被害にあった男性(70代)
「冗談じゃないよと。そんなこと知ったことかと最初はそう思っていたし現実にそういう言葉で話しましたら、『逮捕されますよ』と半分脅かすような(言葉を)かけられて」。

身に覚えはなかったものの、「身柄を拘束する」などと脅されたことで、恐怖心をあおられたという男性。

SNSでのやり取りを始めました。
動揺する男性に追い打ちをかけるように送られてきたのは・・

「今のところ捜査中ですので守秘義務契約を結びます」。

被害男性(70代)
「そういう書類があること自体も知りませんでしたので、全く疎い世界ですから言われるがままの状況でしたね。信じていましたね。それがやっぱり足かせになって警察署にもちょっと相談に行けなかった」

さらに、男は「優先的に捜査をする」などと話を持ちかけ、「決定権を持つ」という検事を紹介。

身の潔白をいち早く証明したいと思った男性は、検事を名乗る男ともSNSでやり取りを始めます。

数日後。

「捜査に1年以上かかる。口座が凍結されて金を動かせなくなる」。
「新しい口座を作った方が良い」とのメッセージ。

スマートフォンの操作に不慣れだった男性は、刑事とビデオ通話で指示を受けながらインターネットバンキングの口座を開設。

定期預金を解約するなどして新しく開設した口座に合計270万円を移し替えました。

しかし、男性が振り込んだ270万円はその日のうちに全額引き出されました。

県警によりますと、2023年、県内で発生した特殊詐欺の被害総額は、前の年より、4億7000万円増えて9億7000万円。

2024年に入ってからの1ヵ月間だけでも被害総額は2億円を超えています。

今回、被害に遭った男性と犯行グループが連絡手段として主に使っていたのはSNS。

さらには、インターネットバンキングを開設させて元々あった口座から現金を移し替えさせそこから、金をだましとるなど一連の犯行がインターネットで完結。

犯行グループにとっては現金を受け取りに来る「受け子」などを用意せず、被害者と対面せずに最小限のリスクで多額の金をだまし取ることができます。

被害にあった男性
「そんな立場(詐欺被害に遭う)になるっていうこと自体も考えていなかった」

スマートフォンやインターネットを主な犯行ツールとして利用するなど時代とともに特殊詐欺の手口は多様化しています。

警察は被害に遭わないために、1人1人が正しい知識を身に付けてSNSを利用することが必要だとして注意を呼びかけています。

出典:Yahoo!(2024/3/14 仙台放送)

https://news.yahoo.co.jp/articles/4d381997297048bbd9891dd6e9fabbc13c41a6c5