住宅内の指定した場所に現金を置かせ、家人の留守中に容疑者が取りに行く手口の特殊詐欺が17日までに、栃木県内で2件相次いだ。隣県でも同様の手口の事件が数件あり、県警は「現金の受け取り役が姿を見せない新しい手口。家人との接触がなく、今後増える恐れがある」と警戒する。被害に遭った県北在住、80代男性は取材に、自宅のトイレに現金を置くよう指示され、最寄りから4駅離れた駅に呼び出された手口を語った。

 県警によると、新たな手口は息子らを装った「おれおれ詐欺」で、現金を自宅内の特定の場所に置くよう指示する。その後、自宅外へ呼び出したすきに現金を持ち去るのが特徴だ。

 県北の男性は5月29日、現金100万円をだまし取られた。同日午前、同居する長男を装った男から自宅に「飲食店で会社の約束手形が入ったバッグを盗まれた。100万円用意してほしい」と電話があった。

 男性は金融機関で現金を用意し帰宅した直後、同じ男から電話で「現金を他の人が取りに行くかもしれないから家のトイレに置いて」と指示された。また会社のはんこを上司から受け取る口実で自宅外へ呼び出された。指定場所は最寄りから4駅離れた駅だった。

 男性は駅構内で約1時間、上司とされる人物を待ったが見つからず、帰宅するとトイレに置いた現金がなくなっていた。「無施錠の窓から入られたのかもしれない」と推測する。

 男性は呼び出される際、自宅から離れた駅名を言われ「少し違和感があったが、声も息子に似ていて信じてしまった」と吐露。容疑者に対し「人をだまして生きていくのは大変。捕まったら親が悲しむことを考えてほしい」と訴えた。

 宇都宮市内でも5月下旬、息子を装った同様の手口のおれおれ詐欺があり、80代男性が210万円をだまし取られた。現金の他、玄関の鍵を指定の場所に置くよう指示があったという。

 県警は新たな手口について注意を呼びかけ、「防犯機能付き電話機などを設置し、少しでもおかしいと思ったら家族や警察に相談してほしい」としている。

出典:Yahoo!(2024/07/18 下野新聞SOON)

https://news.yahoo.co.jp/articles/e23f0c69b4196e000bdca36100a6f18e54545722