県警が2025年認知した特殊詐欺のうち、警察官をかたるオレオレ詐欺被害の件数は、上半期の6月末までの暫定値で47件(被害総額約1億7千万円)と、4件(同約1千4百万円)だった前年同期から件数、被害総額ともに約12倍に膨れあがった。今年上半期の被害総額は、昨年1年間(被害件数171件)の約1億1千6百万円をすでに上回り、事態は深刻化をたどる一方だ。巧妙化する「劇場型」の手法の進化が背景にあるとみられる。県警は最終的に金をだまし取る手口は変わらないとの認識を示した上で、「警察官や検察官が金の振り込みを求めることは絶対にない」と呼びかけている。

 県警によると、25年の県内での特殊詐欺の認知件数は、6月末時点の暫定値で134件(被害総額約2億6千8百万円)と、前年1年間の171件(同約2億3千448万円)を大幅に超える勢いで増加している。うちオレオレ詐欺は47件と前年1年間の36件をすでに超えた。今年はすべて警察官をかたる事例(前年は1年間で30件)だった。

 県警組織犯罪対策課の山城裕司次席は、4千万円超をだまし取られた女性の手口に出てきた『優先調査制度』や、それに伴うスマートフォンでの『AI監視』などは「存在しない」と断言。女性が強要された入浴中やトイレでの撮影は、「さらなる被害につながる可能性もある」と指摘する。

 女性が初めに受けたのは自動音声の電話で、その後やりとりした警察官役の番号には国際電話を表す「+」の表記があった。山城次席によると、最近は自動音声を利用した事例が増えており、国際電話のほかに、警察署を装った「110」などで終わる番号が用いられることもある。県外では実在する警察署の番号も確認されている。

 女性が振り込んだ現金の受託先は「警視庁JAFIC犯罪収益対策」とされていた。山城次席は、実在する警察庁犯罪収益対策室からの金の請求についても否定し、「プロセスがどんなに巧妙化、複雑化しても捜査機関から金を要求することがない点は変わらない」と強調した。

 県警は、国際電話への発信を制限するサービスを提供する、主要な通信会社などの問い合わせ先をまとめた資料を作成し、注意喚起している。詐欺グループとの接触を減らすことが期待できるとされる。

出典:Yahoo!(2025/07/23 琉球新報)

https://news.yahoo.co.jp/articles/b5c66497c2a920fb3a942ab50c459c3ea159e447