息子や孫を装って現金をだまし取る「おれおれ詐欺」による被害額が今年に入り、宮城県内で急増している。被害額は6000万円を超え、既に2019年の年額(5932万円)を上回った。いったんは下火になった手口で高齢者をだますケースが目立ち、県警が注意を呼び掛けている。
県警が集計した20年1~2月の被害額は2030万円。2月上旬には、東松島市の無職女性(79)が現金300万円をだまし取られた。「会社の書類を誤って送り、金が必要だ」と孫をかたる男から電話があり、孫の上司のおいになりすました男に、女性は現金を手渡したという。
3月に入ると、仙台市太白区の無職女性(84)が暗号資産(仮想通貨)の利益を巡る納税資金名目で、計4420万円の被害に遭ったことが発覚。2月26~28日に5回にわたり、息子を名乗る男らに現金を詐取された。
県警がまとめた特殊詐欺の被害額はグラフの通り。おれおれ詐欺は15年の4億4378万円をピークに、18年は4397万円にまで減った。金融機関で多額の現金を引き出そうとする客に、職員が使い道を尋ねるなど「水際作戦」と称する取り組みが功を奏したとみられていた。
被害額は19年、再び増加に転じた。県警によると、かつて横行した手口で、お年寄りらがだまされるケースが増えているという。
特殊詐欺全体の被害額も20年1、2月は4607万円で、前年同期(2393万円)の倍近くに増えた。おれおれ詐欺をはじめ、銀行協会職員や家電量販店、百貨店の店員らをかたってキャッシュカードを詐取し、現金を引き出す「預貯金詐欺」などが多いという。
県警生活安全企画課の赤間博之管理官は「突然の電話を受け動揺すると思うが、冷静になり警察や家族に相談してほしい」と話す。
出典:河北新聞(2020/03/23)
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/202003/20200323_13007.html