警察官をかたり、高齢者からキャッシュカードなどをだまし取るニセ電話詐欺の多発を受け、県警音楽隊は手口や注意するべきポイントを紹介する寸劇を動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開した。 (三宅千智)
 「ボス、ちょろいっすね。警察って言ったらすぐ信じましたよ」「たいていの人は、『警察』って名前を出せばころっとだまされるもんだ」
 詐欺グループが高齢者宅に電話し、カードをだまし取ろうとするが、巡回中の本物の警察官が未然に防ぐという内容。音楽隊員らは迫真の演技を見せ、劇中の効果音も担当する。
 音楽隊は通常、催し会場での演奏にあわせてニセ電話詐欺や交通事故の注意喚起をする。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で多くの催しが中止になり、動画での広報を始めた。
 県警の財津康広報課長は「家族で見るなどして理解を深めてほしい」と話す。

◆今年7月末現在で被害額は1億円

 県警によると、今年に入って七月末までに三千三百九十三件のニセ電話詐欺を認知した。このうち警察官をかたる手口は千三百七十四件で四割を占める。
 実際に被害に遭った二百十七件(約三億八千三百万円)のうち、警察官をかたった詐欺は五十五件あり、被害額は約一億円だった。
 浜松市中区で今月十日、八十代の男性が四百五十万円の被害に遭った。県警によると、浜松中央署員や警視庁警察官をかたる男から「個人情報が漏れ、詐欺電話がかかってくることがある。キャッシュカードや暗証番号を変えましょう」などと電話があった。警察官を名乗る男が自宅に来て、男性の目を盗み、封筒に入れたカード類を別の封筒とすり替え、盗んだ。
 詐欺グループが警察官の身分証を偽造して来訪することもあるという。県警生活安全企画課の担当者は「『名前が詐欺グループの名簿に載っている』などと不安にさせ、『カードを新しくすれば大丈夫』と安心させるのが常とう手段だ」と指摘する。
 県警は「警察官がキャッシュカードを要求したり、暗証番号を聞き出したりすることは絶対にない。不安に感じたら相談を」と呼び掛けている。
 
出典:中日新聞(2020/8/19)
https://www.chunichi.co.jp/article/106545