「あなたのキャッシュカードが不正に使われている」。このような嘘でカードをだまし取る特殊詐欺で、新たな手口が急増しています。被害にあった90代の男性が犯行の一部始終を語りました。

 詐欺の疑いで警視庁に逮捕された住居不定・無職の相馬伸好容疑者(38)。今月18日、東京・江東区に住む96歳の男性からキャッシュカード4枚をだまし取った疑いが持たれています。

 その被害者の男性(96)です。

 「(午後)2時半ごろ電話がかかってきたの。私のゆうちょの預金通帳から50万円を(何者かが)下ろしたって」(被害者の男性)

 男性の自宅にはまず警察官を名乗る男から電話がありました。男は「50万円が通帳から引き出された」「取り返すのに暗証番号が必要だ」などと話したといいます。その直後、自宅に警察官を名乗って現れたのが相馬容疑者でした。そして、男性からキャッシュカードを受け取ると切り込みを入れ始めたといいます。

 「カードはここで切った、このハサミで。ハサミをこういうふうに入れた」(被害者の男性)

 4枚全てに切り込みを入れると、相馬容疑者は「裁判所に行く」といって去っていきました。しかし、自宅の前では警視庁の捜査員が警戒中でした。相馬容疑者はそのまま逮捕されました。

 「私ぐらいの年になってくると、信用しちゃうんだよね。絶対に(見知らぬ人を)うちの中に入れちゃだめだよ」(被害者の男性)

 高齢者を狙った“キャッシュカードの切り込み詐欺”。被害の拡大を受け、警視庁は今月、この手口で実際にだまし取られたキャッシュカードを公開しました。いずれもICチップや口座番号を避けて切り込みが入れられています。

 都内では今年5月から被害が急増。これまで(9月15日まで)に215件、およそ4億6千万円もの被害が出ているということです。

 神奈川県警は詐欺グループの電話の音声を公開しました。

 「(神奈川県警)厚木警察の生活安全課のオオガキと申します。(銀行の)ATMで、多額の現金を引き出している男性が2名いるということで、うちの警察署の方で逮捕しているんですよ。犯人グループが、キャッシュカードを持っていたってことだったので、(あなたのカードを)証拠品って言って、お預かりしないといけないんですけど、必ず1センチ以上切れ込みを入れて、“磁波”を飛ばしてじゃないと、裁判所に提出できないんですよ」(詐欺グループの電話音声 神奈川県警より)

 銀行側も注意を呼びかけています。

 「全国的にそういう手口は、増えています。(カードは)自分で保管するということを、心がけていただければと思います」

出典:TBSNEWS(2020/9/30)
https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4089816.html