偽電話詐欺を巡っては、高齢者宅を訪問してキャッシュカードに切り込みを入れて使用できないようにしたと安心させ、持ち去る新たな手口が福岡県内で相次いでいる。今年に入り、10月12日までに13件(被害総額約2075万円)が確認され、うち10件は8月以降に起きた。

 「偽造カードで現金を引き出される事件があり、あなたも被害に遭っている」。9月中旬、北九州市の70代男性宅に、警察官を名乗る男から電話があった。男性は、訪ねてきた男にキャッシュカード6枚を渡した。男は「はさみを貸して」と求め、目の前で全てのカードに切り込みを入れて「使えなくしたので回収する」と持ち去った。その後、計100万円以上が引き出されていたという。

 福岡県警によると、13件の被害はいずれも似た手口で、被害者は全て高齢者だった。切り込みはカードの使用に支障がない部分に入れたとみられる。

 県内の2020年の偽電話詐欺被害は8月末現在で138件、被害額は2億4629万円に上る。キャッシュカードや通帳を受け取りに、被害者宅を訪問する手口が6割近くを占めた。予兆とみられる不審電話は9月は前月の123件から倍増した。

 県警はコールセンターを設置し、詐欺グループから押収した名簿に記載されている人に、電話で直接注意を呼び掛ける取り組みを実施。福岡西署は、不審電話があった地域にすぐに警察官を出動させ、警戒する独自の対策を取っている。

出典:西日本新聞(2020/10/14)
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/654175/