宮城県内で今月、介護保険料の還付などをうたい、高齢者らに現金自動預払機(ATM)を操作させ、指定した預金口座に現金を振り込ませる還付金詐欺の被害が相次いでいる。県警によると、2018年以降は下火になっていた手口で、主に60代が狙われる傾向があるという。
県警によると、仙台、多賀城両市内で今月10~12日、4件計約600万円の被害があった。
被害者はいずれも60代。自治体職員や銀行員などを名乗る男から「還付金の通知が届いていないか」「手続きのため最寄りのATMに向かってほしい」などと電話を受けた後、携帯電話で指示を受けながら、現金を振り込んだ。仙台、富谷両市で、同様の予兆電話が相次いだ。
県内の還付金詐欺の被害は07年から発生し、08年は72件(計7350万円)に上った。以後は減ったものの、14年ごろから再び増え、15年は過去最多の74件(8608万円)に達した。
この間、県警は地元の金融機関と連携し、被害の防止に取り組んできた。七十七銀行と仙台銀行は17年から、ATMの送金実績が一定期間ない70歳以上の預金者を対象に、ATMを使った振り込みを制限。対策が奏功し、18年7月以降は被害が確認されなかった。
捜査関係者は「これまで対策の対象になっていない60代後半が詐欺の主な標的になっているようだ」と分析する。
県警は携帯電話を使いながらATMを操作している人に注意喚起を図るとともに、防止策として、迷惑電話防止機能付きの固定電話を利用するよう呼び掛けている。
出典:河北新報(2020/11/17)
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/202011/20201118_13010.html