保険料などを「返金する」などと持ちかける特殊詐欺「還付金詐欺」の被害が青森県内で急増している。県警が2020年に把握した被害件数は19年と同数の1件だったが、今年は5月末までに既に16件。被害額は総額約1975万円に上る。県警の聞き取りによると、還付金詐欺被害者の7割が「電話口の相手の丁寧な言葉を信じ込んだ」と回答した。県警は、不審電話には十分気をつけるよう呼び掛けている。
還付金詐欺の典型例は、電話で自治体職員などを名乗り「医療費や保険料の過払い金、未払いの年金がある」と告げた後に「還付する」「返金する」と持ちかけるケース。電話口に金融機関職員を登場させるなどして、現金自動預払機(ATM)に誘導、指示通りに操作・送金させる。
被害者側は還付手続きが完了したと思い込んでいるため、送金後はすぐに被害に気付かないことが多い。だまし取られてから何日も経過した後に、自身の口座から預金額が減っている状況に気付く事例が数多い。
県警生活安全企画課によると、今年、特殊詐欺被害にあった25人に聞き取りしたところ11人が「特殊詐欺という名称は知りながら具体的手口を知らなかった」と回答。一方、還付金詐欺の被害者16人中、7割にあたる11人が「自治体や金融機関職員を名乗り、丁寧な言い方で誘われるので信じた」と答えている。
摘発を担当する県警捜査2課は「送金された現金の引き出し場所は、ほぼ首都圏。遠方から本県に連絡し、リスク回避のため対面しない振り込ませる手口が多い」と指摘。県消費生活センターは3月から還付金詐欺の相談が目立っているといい、関係者は「本県が狙い撃ちされているのではないか」と推測する。
県警によると、今年の特殊詐欺被害は5月末時点で25件(前年同期比17件増)。うち手口別では還付金16件と突出しており、架空請求6件、おれおれ、融資保証金、ギャンブルが各1件。被害額は4106万円で、前年比3497万円増と大幅に増加している。被害回復はほぼ絶望的とされる。
出典:Yahooニュース(2021/6/7 Web東奥)https://news.yahoo.co.jp/articles/2f3d174b18ed0d94b1e646314b6faa92295782e4