広島県内で特殊詐欺被害が増加している。今年1~6月に確認された被害総額は約1億8400万円で、昨年1年間の被害額(2億4105万円)の約8割に迫っている。県警は、今年被害が相次ぐ「オレオレ詐欺」のやり取りを録音した音声データを公開。7日には被害状況をわかりやすく紹介するホームページに更新するなど、対策に躍起だ。

 県警によると、特殊詐欺被害は2014年(16億3437万円)以降、毎年減少。18~20年には、「年間被害額5億円以下」を目標とする「アンダー5作戦」を3年連続で達成していた。

 しかし、今年1~6月に認知した被害件数は98件で、約1億8400万円。更に、福山市の高齢女性が3640万円をだまし取られた被害が確認されており、今年の被害額は2億円を超える。

 被害の内訳は、「オレオレ詐欺」が29件(前年6件)、「還付金詐欺」が12件(同0件)で、昨年には少なかった手口で被害に遭うケースが多いという。

 県警が警戒を強めるのは「オレオレ詐欺」だ。県警は6月、詐欺グループの男が、備後弁を使って電話で金を要求する「オレオレ詐欺」の音声をホームページで紹介し、注意喚起している。息子を名乗る男が会社の小切手をなくしたと告げ、「会社、くびんなるんよ」「なんぼか都合つけてもらえんじゃろか」と金を無心する手口で、今年、複数の被害が確認されている。

 また、県警は今月から、新たな対策を導入する。特殊詐欺対策のホームページを刷新。手口を紹介するイラスト画像や被害件数を示すグラフを使って説明する。

 更に、特殊詐欺被害を複数回防いだ金融機関などを「特殊詐欺被害抑止優秀店」と認定する制度を採用。認定を証明するために県警が作った「表彰盾」を設置してもらい、従業員や来店客に防犯意識を高めてもらう。

 県警生活安全総務課の久保裕史次席は「被害が頻発していることを知ってもらい、抑止を徹底したい」と話している。

出典:Yahooニュース(2021/7/9 読売新聞オンライン)https://news.yahoo.co.jp/articles/5fa4d1c498548ac8d8c425e4eb296cf53eb0da25