新型コロナウイルスの感染急拡大が続く中、岡山県内で7月以降、感染対策を装った新たな手口の特殊詐欺被害が少なくとも9件発生していたことが19日、県警への取材で分かった。

 犯罪に使われる恐れがあるとして、キャッシュカードを自宅の郵便ポストに入れさせておき、だまし取る「非接触型」。従来のようにカードを直接受け取らないことで、被害者と顔を合わせるリスクを回避するのが犯行グループ側の狙いとみられる。

 県警生活安全企画課によると、県南部を中心に7月に4件、8月に5件(18日時点)の被害を確認した。いずれも詐取されたカードで現金を不正に引き出され、被害額は計約1100万円に上る。

 岡山市の高齢女性は7月中旬、百貨店従業員や警察官を名乗る人物から相次いで電話で「店頭であなたのカードで買い物をしようとしている人がいる」「被害を防ぐには交換が必要」などと告げられ、尋ねられるまま暗証番号も教えた。

 従来の手口では、この後、カード回収役の「受け子」が女性宅を訪れ、直接やり取りする。だが、新たな手口では「コロナ禍のため対面での接触は避けたい。カードはポストへ入れておいて」と指示。この女性もその通りにすると、目を離していた間にポストからカードが消え、口座からは身に覚えのない出金があった。

 県警が摘発した特殊詐欺事件では、外国人が受け子として加担するケースが目立ち始めたといい、同課は「そういう事情もあって、犯行グループ側はコロナ禍に乗じて被害者との接触を避ける手口を考え出したのではないか」と推測。同課の竹内浩一犯罪抑止対策室長は「電話でカードやお金の話が出てもうのみにせず、必ず警察や家族に相談を」と強く呼び掛けている。

 県内で今年1~7月に認知された特殊詐欺被害は68件、被害額は約1億9260万円に上る。昨年は1年間で102件、約5億2010万円の被害が発生している。

出典:Yahooニュース(2021/8/20 山陽新聞デジタル)https://news.yahoo.co.jp/articles/d20a50400239dd0a3e017368e6e9b2bbaa0df56d