市町村職員などになりすまして「還付金がある」と偽り、ATM(現金自動預払機)に誘導して現金を振り込ませる「還付金詐欺」が、県内で多発している。被害件数はすでに昨年に迫る勢いだ。被害に遭わないよう、県警はATM周辺での携帯電話の通話自粛を呼び掛けるなどの対策に乗り出す。

 県警によると、今年の県内の還付金詐欺被害件数は15件(8月末現在)と、昨年1年間の16件に迫る。そのうち14件は60代が被害にあった。被害額は1457万円で、前年同期より824万円増えている。

 いわき市の60代女性方には8月中旬、自宅の固定電話に市役所職員を名乗る男から「払いすぎた介護保険料の還付金がある」などと電話があった。その後、金融機関職員を名乗る男から電話で「還付金はATMで振り込みます」などと言われ、携帯電話で指示された通りにATMを操作。気付いた時には、現金約150万円が他人名義の口座に振り込まれていた。

 県内では2016(平成28)年に28件の被害があって以降、被害は減少したが、19年から再び増加に転じている。県警の担当者は「犯人側も常に手口を変化させている」と分析。新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛や、犯人と被害者が接触せずに済むことも影響しているとみられている。

 被害防止対策として県警は「POLICEメールふくしま」で情報を発信。金融機関と連携してATM周辺で携帯電話の通話自粛を呼び掛けたり、郡山、二本松の両署管内のATMコーナーに相談先を掲示したりする取り組みも試験的に行う。県警生活安全企画課は「ATMで還付金手続きはできない。被害に遭わないように注意してほしい」と呼び掛ける。

出典:Yahooニュース(2021/9/24 福島民友新聞)
https://www.minyu-net.com/news/news/FM20210924-657284.php