特殊詐欺被害を未然に防いだとして、京都府警向日町署は、個人1人と、銀行とコンビニの計3店舗とその職員や店員ら6人に感謝状を贈った。特殊詐欺被害を防いだ個人に同署が感謝状を贈るのは、今回が初めて。

 感謝状を贈られた京都府長岡京市の会社員吉田翼さん(39)は、コンビニで危うく電子マネーを購入させられそうになっていた高齢男性に声を掛け、詐欺被害を防いだ功績が認められた。また、市職員を名乗る男性から還付金に関する電話を受け、ATM(現金自動預払機)を訪れた高齢女性の様子を不審に思い、110番通報するなど企業関係者6人も被害防止につなげた。

 吉田さんは「目の前に倒れてる人がいたら、大丈夫ですかと声を掛けるのと同じ。おじいさんの様子が変だったから声を掛けた」と、当時を振り返った。

 10月21日午後5時ごろ、仕事を終えて近所のコンビニに行った。レジに並んでいると、高齢男性が6万円を出して電子マネーを買いたいと慌てた様子で店員に訴えていた。男性から話を聞くと、すでに3万円の電子マネーを購入し、さらに6万円支払わなければ、スマートフォンが使えなくなると言われたという。

 まだ通話中だった男性のスマホを預かり、電話に出ると片言の日本語が返ってきた。若い男のような声で、吉田さんが質問しても「必要なんです」の一点張り。警察を呼ぶことを伝え、電話を切り110番したが、5分後にまた別の声の男から、さらに5分後にも掛かってきたという。その後、到着した署員に状況を説明。男性は6万円を購入せず、被害を防げた。

 吉田さんは「高齢者が電子マネーを買い求めることに違和感があった。声を掛けるだけで防げる被害もあると思う」と話し、こうした人を見掛けたら積極的に話しかけることが大切と訴えている。

 同署によると、管内で発生した特殊詐欺被害は12月21日時点で18件で、被害総額は約2150万円。全て65歳以上の高齢者で男性4件、女性14件だった。

 吉田さんのほかに、感謝状を贈られたのは次のみなさん。▽京都中央信用金庫今里支店、石川雅子、佐伯遼香▽京都銀行向日町支店、堤本さやか、山成知希、占部良▽ファミリーマート今里2丁目店、一井里美

出典:Yahooニュース(2021/12/23 京都新聞)
https://news.yahoo.co.jp/articles/89c6ed713c36dfa07a4d8ed396bae0e055806d80