振り込め詐欺など特殊詐欺の2021年の認知件数は前年比6・7%増の1万4461件(暫定値)で4年ぶりに増加したことが3日、警察庁の集計で判明した。「医療費が還付される」などとだまし現金自動受払機(ATM)で現金を振り込ませる「還付金詐欺」が前年の2・2倍になったことが全体を押し上げた。

 全体の被害額は前年より2・5%少ない278億1000万円で7年連続して減少した。被害者は65歳以上の高齢者が88・2%を占めており、警察庁は「深刻な情勢」としている。

 認知件数の手口別では、還付金詐欺が4001件で全体の27・7%となり最多だった。還付金詐欺の被害額は20億2000万円増の45億1000万円。だましの言葉としては医療費や健康保険、社会保険名目が多い。警察庁は、新型コロナウイルス禍で医療費や保険に対する関心が高まったことに詐欺グループがつけ込んだ背景があるとみる。

 特殊詐欺の被害は大都市圏に集中するが、還付金詐欺は地方にも被害が拡散しているのが特徴。このため警察庁と金融庁は22年1月25日、全国銀行協会などに「ストップ!ATMでの携帯電話」運動を全国で展開するよう協力を要請した。

 運動は、ATMの前で高齢者らが詐欺グループに携帯電話で誘導されて振り込みをしないよう声かけやポスターの掲示をするもの。警視庁が21年4月に始め、21年12月末現在で33都府県警が取り組んでいる。

 コロナに関連した特殊詐欺は44件で、被害額は1億1000万円。うち還付金詐欺は24件だった。

 全体の摘発件数は前年比11・7%減の6552件で、7年ぶりに減少した。摘発した2365人のうち、首謀者やグループリーダーは45人(前年比15人減)で、うち暴力団関係者は19人(同8人減)だった。

 警察庁は、特殊詐欺が暴力団の資金源となっているとして、組織の中枢への摘発を強化するため21年4月に特殊詐欺の担当を捜査2課から組織犯罪対策部門の暴力団対策課に移管した。21年12月末現在で、全国の警察でも17府県で組織犯罪対策部門が担当するようになった。ほか2県でも捜査2課に組織犯罪対策部門の機能を持たせて対応している。【町田徳丈】

出典:Yahooニュース(2022/2/3 毎日新聞)
https://news.yahoo.co.jp/articles/edf47a2cef83b678666d0db1de8910d67588e430