兵庫県内の特殊詐欺による被害が、発生件数・被害額ともに前年の同期間と比べて2倍近いペースになっていることが兵庫県警への取材でわかった。 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため外出自粛で、特殊詐欺の被害確率が高い高齢者の在宅率が高くなったが、 被害そのものは全国的に減少傾向。こうしたなか兵庫では2020年1月~6月までの被害件数が504件と、前年の同期間に比べて270件も増加。 また被害額は8億2900万円と3億7900万円も増えている。深刻な状況に兵庫県警は警戒を強めている(兵庫県内での2019年の被害件数は657件・被害総額は約10億9000万円)。
■油断大敵・留守電使わず… 兵庫県警・生活安全企画課は2019年の特殊詐欺の被害者にアンケートを実施。回答が得られた523人のうち約8割(78%)が 「特殊詐欺が多発していることは知っていた」と答えた。
一方で同じく約8割(78%)が 「何も対策をしていなかった」 と答えており、危機感の薄さが浮き彫りになった。また8割以上(83%)が「油断していた」「何も考えていなかった」と回答した。
最も多かったのは架空請求詐欺の218件。次いでオレオレ詐欺の190件。これらで約8割を占めた。このほかキャッシュカードを封筒に入れさせ、隙をみて別の封筒にすり替えるなどして被害者のキャッシュカードを持ち去る手口も2割近くにのぼる。犯人にキャッシュカードを手渡した被害者292人は全員が「犯人からの(最初の接触としての)連絡手段が固定電話」だったという。
被害者の年代別で多いのは▼80代=206人▼70代=144人。65歳以上では399人と全体の約8割に。このうち独居者が半数を超えた。
居住地別では▼阪神間=224件▼神戸市内=168件で7割を占めた。
詐欺対策に有効な留守番機能が付いた電話を被害者のほとんどが持っていたが、機能を常に使っているのは3割にすぎなかった。兵庫県警は「詐欺の電話に出ない対策のためにも留守番機能をフルに活用してほしい」と呼び掛けている。
■兵庫の特異性「日本の縮図」とは? かつては「オレオレ詐欺」と呼ばれていたが、手口の多様化で2004年に警察庁が総称として「振り込め詐欺」と命名した。兵庫は当時から被害件数が全国でもワースト5に挙げられていた。なぜ被害が収まらないのか。 北は日本海に面し、南は瀬戸内海から淡路島、太平洋へと続く兵庫は、大都市から農村、離島まで多種多様な地域があり「日本の縮図」と呼ばれている。兵庫は阪神間~神戸市内~東・西播といった太平洋側の都市部と、その他の郡部が共存、郡部の高齢化と都市部の核家族化が進む。
捜査関係者によると、都市部では高齢者と同居する家庭も多いが、在宅時間が長く、電話(固定電話)を取りやすい高齢者が、留守番中に犯人からの電話を受けても、判断機能が衰え、パニックに陥りやすいために家族に相談できないケースもあるという。この典型的な「日本の縮図」、兵庫の特異性も遠因にあるのではないかと指摘する声もある。
■少年が特殊詐欺事件に加担、深刻な状況 特殊詐欺事件の「受け子」や「出し子」などとして検挙される未成年者が増えている。兵庫県警が2020年6月までに検挙した少年や少女は10人。前年同期に並んだ(年間では2018年=28人・2019年=15人)。会員制交流サイト(SNS)などでの誘い文句に釣られ、「アルバイト感覚」で犯罪に手を染めてしまうケースもあり、少年サポートセンターや各警察署で小・中・高校生に向けた非行防止教室や街頭キャンペーンで注意を呼び掛けている。
出典:yahooニュース(2020/8/23)
https://news.yahoo.co.jp/articles/8d88723c7818565233cdf9cba25365d70f3dcd69