今年1~8月に徳島県警が把握した特殊詐欺による被害は、前年同期比1件減の20件だったことが分かった。刑法犯全体の認知件数が減少傾向にある中、特殊詐欺はほぼ横ばいで、被害の深刻さが目立つ。県警は「特殊詐欺は非対面型の犯罪で、社会不安とも結びつきやすい。コロナ禍で増える恐れがある」と警鐘を鳴らす。
生活安全企画課によると、県内の特殊詐欺被害者は▽20代1人▽30代3人▽40代3人▽50代3人▽60代4人▽70代1人▽80代5人。65歳未満が6割を占めており、前年同様に比較的若い年齢層にも被害が広がっている。被害総額は2345万円で前年同期と比べ1664万円減った。
犯行の端緒は▽スマートフォンを含む携帯電話のショートメッセージ(SMS)8件▽固定電話への着信5件▽携帯電話への着信2件▽その他5件。65歳未満の人に対してはSMS、高齢者には固定電話を使って犯人が接触するケースが多かった。
犯人は電話口で「NTTファイナンス」といった知名度の高い企業や、警察、銀行、市役所の職員を名乗る傾向が強かった。SMSでは、サイト利用料が未納として連絡を求める文面が目立った。
金をだまし取る手段としては電子マネーが主流で、被害20件のうち8件を占めた。指定口座への振り込みは5件、通帳・キャッシュカードによる引き出しも4件あった。
県内の刑法犯の認知件数は7月までに1395件。前年同期と比べ383件、約21%減っている。特殊詐欺の被害は衰えが見えないだけに、県警は対策を強化している。水際で食い止めようと、8月に県内のコンビニ315店を訪れ、高額の電子マネー購入者への声掛けを依頼。7月には、固定電話に取り付ける通話録音装置の貸し出しを拡大した。
生活安全企画課の梶孝好指導官は「高齢者だけでなく若い世代も狙われている。お金を払う前に警察に相談してほしい」と呼び掛けている。
徳島新聞(2020/9/9)
https://www.topics.or.jp/articles/-/416086