実在しない国際電話番号から国内携帯電話への着信が、今月に入り急増したことが分かった。通話に中国語が使われ、在日中国人を狙った「ニセ電話詐欺」とみられるが、日本人への着信も多い。約400万円の被害も出ており、専門家は不審な電話に応対しないよう呼び掛けている。
 全国の警察などから迷惑電話番号の提供を受けて対策を取る「トビラシステムズ」によると、8月ごろから存在しない国番号「+83」や「+422」から始まる不審な番号からの着信が確認されるようになり、9月には5000回以上来た日もあった。
 実際に出た人らによると、中国大使館を名乗った中国語の自動音声が聞こえることが多い。放置すると切れるが、指示通り数字を押すと人が出る。会話で中国人でないと判断されると一方的に電話を切られるという。

 

 被害者も出ている。秋田県警秋田中央署によると、秋田市の40代女性は10日、実在しない国番号「+885」の電話を受けた。大使館職員と公安局員を名乗る男女に「武漢に大量のマスクを送っただろう。犯罪だ」などと脅され、計411万円を振り込んでしまった。
 実際に着信を受ける数は日本人の方が多いようだ。岡山県倉敷市の男性会社員には14日に「+422」から着信があった。下1桁が違う番号の妻にも数分後、別の番号から着信があり「詐欺電話だ」と思ったという。
 機械が発信番号を詐称しながら大量に自動発信しているとみられる。現在は北米やブラジルなどの国番号の後に、使われていない市外局番などを続けることが多い。
 NTTドコモによると、こうした電話を受けて課金されることはない。トビラ社によると、かけ直しても通じない場合が多いが、国際電話番号の着信履歴を残し、かけ直すと高額料金が発生する別の詐欺もある。明田篤社長は「犯罪者のリストに載る恐れもある。不審な電話には出ず、かけ直さないことが重要だ」と話した。
 
出典:東京新聞(2020/9/29)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/58481