特殊詐欺の被害を未然に防いだとして、京都府警中京署は14日、りそな銀行千本支店(京都市中京区)の行員、中浜愛さん(29)に感謝状を贈った。同市北区の70代男性が、FBI(米連邦捜査局)に現金を振り込もうとしたのを不審に思ったという。中浜さんは以前、対応した顧客が詐欺にあってしまったことがあったといい「反省を生かし、今回は入念にチェックした。被害を止められて良かった」と振り返った。
同署などによると、男性は4月14日に支店を訪れ、現金25万円を振り込もうと窓口に振込用紙を持ってきた。対応に当たった中浜さんが理由を尋ねると「FBIにお金を振り込みたい」などと説明したことから、上司や同僚に相談。振込先は、ゆうちょ銀行の京都市内にある支店の口座で、FBIとは関係ないとみられる名義だったという。
男性に話を聞くと、FBIをかたる英文のメールが12、13日に届いていた。「マネーロンダリング(資金洗浄)への加担が疑われている。回避するには現金49万3000円を振り込むように」といった内容で、グーグルの翻訳機能を利用して日本語にし、支店にも印刷したものを持ってきていたという。そのため、詐欺を疑った上司が110番通報した。
◇話聞くうちに70代男性「不安やった」
男性は自分の口座について、ATM(現金自動受払機)での1日の引き出し上限額を25万円に設定していたため、14日はまず25万円を振り込み、翌15日に残りを支払おうとしていた。以前にも同様の請求を受けており、その時は現金を振り込んだとみられる。支店に来た男性は最初、平静に見えたというが、中浜さんが話を聞くうちに「不安やった」と漏らしたという。
この日、同署で贈呈式が開かれ、有吉卓也署長から中浜さんに感謝状が贈られた。中浜さんは「高齢の方だとインターネットで自分で調べるのも難しいことがあると思う。少しでも不安に思ったり、どうしていいか分からなかったりする時は、銀行でも相談に乗ります」と話した。
府警によると、2021年1~3月の特殊詐欺の認知件数は48件(暫定値)と、前年同期より1件の微増だが、被害金額は約6740万円と約1・5倍に急増している。同署の櫨山亮一副署長は「電話やメールでお金の話が出たら、家族や警察に相談してほしい」とアドバイスしている。
特殊詐欺の被害相談は、警察相談専用窓口(♯9110)か消費者ホットライン(局番なしの188)。【千金良航太郎】
出典:Yahooニュース(2021/5/14 毎日新聞)https://news.yahoo.co.jp/articles/145f8f22975019be9a5799ae7826552d464daf1c