奈良県警が、同県葛城市内の70代男性宅の電話にかかってきた特殊詐欺犯とみられる人物の実際の音声を動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開している。詐欺犯は自分を警察官だと偽り、男性に架空の事件について説明し、キャッシュカードをだましとろうとしていた。音声は男性の固定電話に録音されていたもので、生々しいやりとりが残されていた。県警は注意を呼びかけている。

 電話があったのは4月20日。女の声で「高田署生活安全課の中村です」と嘘を言い、実際の銀行名をあげ、「銀行の職員だった男2人を逮捕した。2人は銀行のATM(現金自動預払機)でお客さんのキャッシュカードを使って勝手にお金を引き出していた」と説明。犯人が持っていたキャッシュカードの中に男性のカードがあったと話し、男性からカードの情報を聞き出し、だましとろうとしていた。

 だが、信じた男性があわててカードを探すため電話口をしばらく離れると、電話は切れた。

 県警生活安全企画課によると、こうした電話の場合、その後「カードを取り替える必要がある」「近くに警察官がいるので確認に行く」などと言われ、自宅に警察官を装った人物が来訪。キャッシュカードをすり替えられていた可能性があるという。

 県警は女について20代ぐらいの声と分析。同じ日に同市内では、男や女の声で警察官をかたる同様の電話が相次いでおり、同一の詐欺グループの可能性があるとみている。

 動画は約4分40秒。県警の公式ユーチューブチャンネルで公開されている。同課の中谷満志・犯罪抑止対策室長は「警察が家にキャッシュカードを取りに行ったり、暗証番号を聞いたりすることは絶対にない」と強調。「このような電話がかかってくることを、動画を見て知り、実際の手口を知ってほしい」と話している。

出典:Yahooニュース(2021/5/24 産経新聞)https://news.yahoo.co.jp/articles/f930495eb4f196301f01c5d90005900370f285f3