警視庁が三月の一カ月間に東京都内で認知した特殊詐欺被害は二百九十九件(前月比五十四件増)、約五億四千百八十四万円(同約一億二千二百十三万円増)に上ることが、同庁犯罪抑止対策本部のまとめで分かった。新型コロナウイルスに便乗した詐欺電話は三月七日~四月二十四日の間に十五件確認しており、同本部は警戒を強化している。

 同本部によると、金融機関の職員らを装い住宅などを訪問、キャッシュカードをだまし取って現金を引き出す「詐欺盗」が最多で約二億四百二十五万円(同約三千六百五十四万円増)。次いで医療費返還などをかたる「還付金詐欺」が約一億五千四百三十一万円(同約七千六十四万円増)だった。

 コロナ感染拡大に乗じた詐欺電話も相次ぐ。西東京市の七十代の女性宅には四月二十二日、「東京都コロナ対策本部」を名乗る男から「コロナ給付金十万円が出ます。市役所の職員が書類を持って行くので、いつがいいか」と電話があった。

 伊豆諸島の三宅村では同日、七十代女性が自宅の電話に出ると「コロナの関係で国民に十万円が振り込まれる。代行サービスをやっている」と女の声で自動音声が流れた。

 同本部は「給付のため市区町村や警察の職員が戸別訪問や電話をすることは一切ない」と注意を呼び掛けている。コロナに便乗した特殊詐欺により実際に金をだまし取られるなどの被害はこれまで確認されていないという。

出典:東京新聞(2020/4/25)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/202004/CK2020042502000245.html