◆岐阜県内でも120通確認
「民事訴訟として訴状が提出されました。ご連絡なき場合、給料及(およ)び動産、不動産物の差し押さえを強制的に履行させて頂きます」―。実在しない「東京法務管理局」からの封書が岐阜県内各地の個人宛に多数、届いている。県警生活安全総務課の調べでは、10日までに少なくとも120通に上る。同様の封書は愛知や静岡、長野県でも見つかっており、書かれた問い合わせ先に電話をした結果、現金をだまし取られた被害も出ている。同課は新たなニセ電話詐欺の手口と断定し、注意を呼び掛けている。
封筒は定形郵便物の中で最も大きい長形3号で、同課は「目に付きやすい工夫」とみる。東京・霞が関にあるように装った「東京法務管理局」名の文書が入れられ、契約不履行で民事訴訟が起こされたと伝える。記載された「裁判取り下げ期日」までに連絡しないと「原告側の主張が全面的に受理され執行官立ち合い」で給料や不動産を差し押さえると迫る。
さらに「ハガキによる督促は詐欺です」と記され、正式な機関からの通知に見せかける。弁護士が作成したかのような「答弁書」や「訴状」もあった。
同課が封書を初めて確認したのは今月3日。8日までに岐阜地域で35通、9~10日に東濃、飛騨、中濃で計85通が確認された。11日現在、現金がだまし取られるなど被害の届け出はないが、同課は「相談があったのは氷山の一角」と警戒。古い名簿を使用したのか故人宛ての封書も多いといい「目的は電話をかけさせること。本人の事情を知らない家族や親族に連絡させる計算もある」と巧妙さを指摘する。
県内のニセ電話詐欺被害は7月以降に急増。8月には17件で計約2800万円がだまし取られた。同課は「犯人と会話してしまうとだまされる。慌てず、まず警察か家族に相談を」と強調する。
出典:岐阜新聞(2020/9/14)
https://www.gifu-np.co.jp/news/20200912/20200912-273217.html