ニセ電話詐欺で「未払いの年金を受け取ってほしい」といったうその電話をかけて現金を振り込ませる「還付金詐欺」の被害が茨城県内で再燃している。

 近年、年間10~20件程度が続いていた県警の認知件数は、今年1~6月に28件となり、前年同期の3.5倍に達した。退職世代の60代が被害に遭うケースが多く、特に年金受給が始まったものの振り込み金額に制限のない65~69歳の被害が8割を超える。新型コロナウイルスの影響で巣ごもりが増えたことも背景にあるとみられる。

 県警ニセ電話詐欺対策室によると、還付金詐欺の被害者は主に高齢者で、2016年の県警の認知件数は99件と、ニセ電話詐欺全体の約23%を占めた。その後、県内銀行が70歳以上を対象に現金自動預払機(ATM)の振り込み額制限に取り組み、電話しながらATMを操作している人への声掛けなどが進み、17~20年は全体の5%前後と下火になった。今年1~6月の28件は全体の約22%と、以前の水準に戻りつつある。

 コロナ禍で巣ごもりの家庭が増え、他人との直接的な会話を避ける傾向が強まったことも再燃の一因とみられる。

 全国的にも同様の傾向が表れており、警察庁によると、今年1~5月の還付金詐欺の認知件数は1319件で、昨年同期の643件に対し2倍以上となっている。

 県警は、市職員をかたる犯人から「医療費が還付される」との電話があったという情報を基に、警察官がだまされた振りをして電話した約5分半にわたる音声記録をホームページで公開している。音声で犯人は、振り込み先や口座番号などを細かく指示。「整理番号として数字を打って」「認証で『円』を押して」とうそを言って金額を入力させている。さらに被害者側の残高を聞き、振り込み上限額にかからないよう100万円よりわずかに少ない約99万円分を打ち込ませている。

 対策について県警の担当者は「他の手口にも言えることだが、とにかく電話に出ないこと。話すから相手のペースに乗せられてしまう」と強調する。通話を自動録音する迷惑電話防止機能付き電話機の導入も有効と説明している。

出典:Yahooニュース(2021/8/11 茨城新聞クロスアイ)https://news.yahoo.co.jp/articles/3541347b787b2bf5325f99bec37589c6353224c6