パソコンがウイルス感染したように装って対策ソフト名目などで金品をだまし取る「サポート詐欺」が、相次いで確認されている。今月には、県内で初めて被害の届け出があった。新型コロナウイルス感染症の影響でインターネットを利用する機会も増える中、県警や関係機関は、警告画面が突然現れるなどしても慌てず、再起動するなどの冷静な対応を求めている。
県警生活安全企画課によると、サポート詐欺では、インターネットでサイトを閲覧していると、「重大なリスクがある」などとウイルス感染に関する警告画面や電話番号が表示される。不安をあおるため、大きな警告音が鳴る場合もある。画面に示された番号に電話すると、片言の日本語を話す男が対応するという。
被害者を信用させる手口として使われるのが、パソコンの遠隔操作だ。電話で指示されるままに操作するとソフトをインストールしてしまい、遠隔操作が可能となる。専門的な知識をうかがわせることで信じさせ、対策ソフト名目などで金品を要求してくる。
県警に寄せられたサポート詐欺に関する相談は、今年1~5月は0~5件で推移していたが、6月11件、7月10件、8月7件と増加傾向にある。新庄市の50代男性が電子マネー10万円分を詐取されたとして今月1日に被害を届け出たほか、2日にも村山地方の70代男性がコンビニで電子マネーを購入しようとした。村山地方の男性は店舗側の指摘もあり、被害はなかった。
日本サイバー犯罪対策センター(東京)によると、サポート詐欺は5年ほど前から確認されている手口。一般的なURLやバナー広告などから誘導されることもあるという。同センターの担当者は、もし警告画面が現れても、再起動やブラウザーを閉じるなどの方法で消去できると説明する。スマートフォンでも、アプリをダウンロードさせるなどの同種手法が確認されているという。同センターのホームページでは、サポート詐欺の注意点などを動画で紹介している。
県警生活安全企画課は、サポート詐欺に関する相談が増えている背景として、新型コロナの影響によって、家庭などでネット利用時間が増えていることを指摘。犯行グループはこうした状況を狙っているとし、「警告画面や警告音など不安をあおる仕掛けが施されているが、慌てず冷静に対応してほしい」と呼び掛けている。
山形新聞(2020/9/7)
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