静岡県内で今年に入り、キャッシュカードをすり替えて盗んだり、だまし取ったりする手口の特殊詐欺被害が多発している。関連被害は4日現在、前年同期比8件増の27件。引き出された現金は同2119万円増の3484万円に上る。被害件数、被害額ともに特殊詐欺被害全体(39件、5270万円)の大半を占めていて、県警は警戒を強めている。
県警生活安全企画課によると、今年の被害はキャッシュカードをすり替える「キャッシュカード詐欺盗」が13件増の16件(被害額2449万円)、だまし取る「預貯金詐欺」が5件減の11件(同1035万円)。
いずれも警察官や金融機関職員を装った犯人がキャッシュカードを「事件の証拠品」「古いので替える必要がある」などと偽り、封筒に入れて事前に用意した別の封筒とすり替えたり、預かる名目で持ち去ったりする手口。すり替える際は、封筒に割り印を求めるなどし、家人が印鑑を取りに行ってその場を離れた隙を狙う。その後、封筒を開けずに保管するよう求めるという。
2020年のキャッシュカード詐欺盗と預貯金詐欺の被害者は97%が70歳以上。同課の担当者は「警察官などがカードを預かることはない。高齢者がカードを渡さないよう、家族など周囲の人が見守ってほしい」と呼び掛けている。
特殊詐欺被害防止に向け、県内9信用金庫は一定条件に該当する70歳以上の顧客を対象に、出金限度額を20万円に引き下げる取り組みを実施し、清水銀行も2月から同様の限度額引き下げを開始した。同課の担当者は「効果は徐々に出始めている。静岡県を狙っても無駄と思わせることが重要」と広がりを期待する。
出典:静岡新聞(2021/2/6)
https://www.at-s.com/news/article/social/shizuoka/858768.html